どうしても困った時に開ける封筒の話

images-7松下です。
あなたはこんな話を聞いたことありませんか?

一休さんが死ぬ間際に、
「この先どうしても、どうにもならないことに陥ってしまったとしたら、この封筒を開けなさい」
と、お弟子さんに手紙を渡した話。

そしてしばらくして、そのお弟子さんが、
どうしても「困った!」という事態に陥り、
その封筒を開けてみると、こう書いてありました。

「大丈夫、心配するな、何とかなるから」

言うまでもなく、
お弟子さんは愕然とし、途方に暮れたそうです。

お弟子さんとしては、
偉大なる師匠から、死ぬ間際に授かった大事な手紙だったので、
封筒の中身が、どんな困難にも屈しない秘宝であると期待していましたが、
いざ開けてみると、なんと「そんな秘宝は存在しない」というのが答えだったからです。

太過(たいか)とは、多すぎて溢れることを言いますが、既にそれ自体が邪気になります。
例えば、
「器の小さい人間が、それに見合わない強い力を手にする、または強い負担を背負ってしまうと、悪の道へと走ってしまう」といった具合です。

たとえ良い気運(正気)だったとしても、ある段階を超えた瞬間に、それは悪い気運(邪気)へと変わるのです。

つまり、
「何事も度が過ぎれば邪気となる」
というわけです。

何かを打開しようとして、
その方法として絶対善を貫いたとしても、
気付いたら度を越して既に悪になっていることがよくあり、状況は常にひっくり返ります。

一般的に出世競争などでよく使われる言葉で「全力で走って辿り着いたところは常に崖っぷちだった」なんてことがよくあります。

つまり、
100%完全な勝利法なんてものは、この世には存在しないのです。

話を戻しますが、
このお話で一休さんは、
「ピンチの時は、むしろ何もせず、自然に任せたほうが得策」
ということを、
お弟子さんに伝えたかったんですよね。

コロコロと変わるのは人の心だけではなく、
周囲の状況も同じです。
出会いと別れは常にあるし、季節も変わるし、太陽や月、星の配置さえ変わります。

それらたくさんのものが常に変化し、何らかの影響を与え合いながら、世の中は成り立っているのです。
それを、たった1人の人間が、どう足掻(あが)いても対処できるわけありませんよね、そもそもが。

ですから
「自然に身を任せるのが一番」
と一休さんは言いたかったのでしょう。

普通にしているのが一番、
夏になったら暑いし、冬になったら寒い。
楽しかったら笑えばいいし、悲しかったら泣けばいい。
あまり我慢せず、頑張り過ぎないことが一番ですよね。

私はクローン病という難病と出会ってから、
そんな一休さんの気持ちが、少しだけ分かったような気がします。

松下さとし


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